160628_第21回ベニール・カフェコンサート河合拓始2016/06/28

2016年6月25日(土)  19:00~    会場:ベニール・カフェ(中央区・警固)

第21回 ベニール・カフェ コンサート
武満徹の世界~没後20年 特別企画

ピアノ:河合
拓始
レクチャー:山本 成宏


今回も満席のベニール・カフェ、前半は山本氏の登場です。
いつものように笑い声の絶えない会場、
最後には武満が音楽を担当した映像の一部も交えて長めのレクチャーでした。

休憩を挟んで、後半は河合氏による武満徹のピアノの世界、
こちらのアップライト・ピアノに合わせて選曲されたのが次の5曲でした。

武満徹 ピアノ曲より
■ ロマンス
■ 遮らない休息
■ ピアノ ディスタンス
■ コロナ
■ フォー アウェイ


会場の集中を一身に浴びながらの約40分、
静かな語り口の解説を交えながらの演奏でした。
観客の集中力も、(いつもの事ながら)見事なものでした。

アンコールに演奏されたのは、短い次の2曲でした。
■ 微風
■ 雲

会場ロビーには、河合氏のこれまでのCDが並んでいます。
その中から、次のCDを購入してきました。
(2012年10月27日 東京・三軒茶屋 スペース「KEN」でのライブ録音だそうです)

一柳慧(作曲)/河合拓始(ピアノ) "ピアノ音楽" CD
                    ( Edition OMEGA POINT OPX-011)
http://omega-point.shop-pro.jp/?pid=63012717

そして本日、雨の中、そのCDを聴き始めます。

最近は、歳のせいか、CD1枚続けて聴くのは、まず、無いのですが、
このCD、一気に聴き通してしまいました。
そして、
ライヴで感じていたモヤモヤが、イッキに霧散してゆきます。
「そ~ゆ~ことかッ!」  
と言いつつ、
何が解ったのか理解しているわけではないんですけどね・・・

ベニールのライヴで身を乗り出す人が一番多かったのは、「コロナ」でした。
円形の楽譜を回しながら演奏するという、図形楽譜による作品。
(当日の楽譜は河合氏ご自身で着色されたものでした。)
リハーサルで何度も弾いておられた時と、本番での演奏は
少し印象の違ったものになってましたから、
会場とか観客とか楽器とか、その「場」に合わせて変わってゆくものなのか

いっぽう、一柳の作品も、同じく図形楽譜による作品だそうです。
ここでは、グランドピアノでの演奏ですから、
アップライト・ピアノとは色の数が桁違いだし
内部演奏に使用される泡立て器やマレット、
さらにラジオやでんでん太鼓、フライ返し、ボウルなどなど、
多彩な響きが用意されていて、
「ピアノの響き」という概念を、もう一度イチから考え直せ!と迫られているようです。

このCDに記録された「場」は、
静寂に囲まれながら立ち昇る繊細な響きの饗宴でした。

ただ、この饗宴を楽しめるのは、
ベニールでのアップライト・ピアノ演奏を体験して、
こういう世界への「とっかかり」を掴んだ後だからなのだ、と思っています。
でなければ、このCDを聴き通すなんて事は、私には出来っこなかった。

それにしても、大きなホールでこういう作品を聴く機会は、あるんでしょうか?
確かに、高価なスタインウェイをフライ返しで撫でられるのは腹立たしいでしょうし、
チケットがたくさん売れるわけではないので、難しいのはわかりますが・・・
「沈黙」がしっかりと聴き取れる環境で、こういう作品を聴いてみたいと思う!

ライヴ当日に配布されたものには、河合氏のライヴの予定も含まれていました。
(河合氏のウェブサイトはこちら http://www.sepia.dti.ne.jp/kawai/
地元糸島や箱崎水族館でも演奏されているんですね。
河合氏のギヨーム・ド・マショーや即興演奏が聴けるようですし、
ダンスとの競演もあるようです。