210313_河合拓始 plays 一柳慧@箱水2021/03/14

2021年3月13日(土)開演4:00pm(開場3:30pm)  会場:箱崎水族舘喫茶室

<河合拓始 plays 一柳慧「ピアノ音楽・第一~第七(1959~1961)」>

ピアノがポーンと鳴る、
広がり、揺れ、ただよい、ねじれながら次第に消えてゆく、
その一部始終を、ありありと見つめ続ける心地良さ、

長い間、遠ざかっていたものが、いよいよ帰ってきました。


緊急事態宣言は解除されたものの、
感染症対策は続きます。
受付で体温測定と連絡先の記述は必至、
人数限定、予約制で、集まったのは20人弱、
この会場で適度なDistanceをとる事を遵守すると、
この人数になってしまいますねぇ。

      ニューヨークでジョン・ケージ(1912~1992)と活動を共にした一柳慧(1933~)が、
      1960年前後に作曲した「ピアノ音楽」全7曲を一挙上演。
      図形楽譜と言葉指示のみによる爽快なアヴァンギャルド・ミュージック。
      3月20日、横浜で開催される一柳慧フェスティバルでの演奏に先立ってのライブです。
      滅多に聴けない作品群をぜひご体感ください。

こういう「ゲンダイオンガク」、ラジオやテレビで流れると、
「ん? なんじゃコリャ?」とつぶやいて、ソッコーで消してしまいますよネ?

ところが、実際の現場で、ナマで聴くと、
その豊饒な世界を、夢中で飛び回ってしまうんです!

思うに、現場で聴く音には、
マイクが、どう立ち向かっても、追従し切れない音が、
盛大に含まれていると思うんですよ。
今夜、最初のピアノの音が鳴った時、
「あッ、これだッ!」って思ってのも、それだと思います。

それはもう、サイコーに豊かな2時間だったんですから!


「ピアノが発する音」が多様性に満ちている事は、驚きです。
鍵盤を押さえてアクションを通して弦をフェルトで叩く、なんてのは、ほんの一部に過ぎない!
河合氏のピアノの中は、おもちゃ箱をひっくり返したようで、
様々の個性的な音が交差しております。

  こういう「音」が聴ける場所は、ココ以外にあるんだろうか・・・
  それとも、ココで聴けるのは河合氏だけ、なんだろうか・・・

もうひとつ、心から感激したのは、第4番アタックなしで弾く、というもの。
静かに静かに河合氏が演奏を始めます。
客席に背を向けて、静かに静かに、弦を撫で始めます
ほぼ何も聴こえない、というか、私の耳には届いて来ない。
私の耳に届いているのは、
店の前を通り過ぎる中学生グループの歓声、
イライラと排気音を噴かせながら通り過ぎる車の音、
空調の微かな吐息、
そして、いつもの、老人性耳鳴り・・・

突然、弦を撫でる音が盛り上がり始める、
その音の輝かしい事、美しい事と言ったら!

なんで、普通のピアニストは、こういう「音」を聴かせてくれないのかッ!?


至福の2時間なのでありました。


河合氏、3月には神奈川県立音楽堂で演奏会、
ご成功を祈ります。
https://www.kanagawa-arts.or.jp/legend/event320/