131121_チョン・ミョンフンプロジェクト「トリスタンとイゾルデ」2013/11/21

2013年11月20日(水) 17:00~22:00  会場:アクロス福岡シンフォニーホール

<チョン・ミョンフン プロジェクト in アクロス福岡2013>
東京フィルハーモニー交響楽団「トリスタンとイゾルデ」
(コンサート形式上演 日本語字幕つき)
http://www.acros.or.jp/r_event/event_detail.php?event_id=5270
ソリスト:
イゾルデ/イルムガルト・フィルスマイアー(ソプラノ)
トリスタン/アンドレアス・シャーガー(テノール

ブランゲーネ/エカテリーナ・グバノヴァ(ソプラノ)
マルケ王/ミハイル・ペトレンコ(バス)
クルヴェナール/クリストファー・モールトマン(バリトン)

メーロト/大槻孝志(テノール)
舵手/成田博之(バリトン)
牧人・若い水夫/望月哲也(テノール)

合唱:チョン・ミョンフンプロジェクト 特別合唱団
東京フィルハーモニー交響楽団

指揮:チョン・ミョンフン


全曲終了後の、歓声と拍手とスタンディング・オヴェーション、
アクロスがああいう風に湧き上がったのを見るのは、私は、初めてでした。


なによりも、ソリストたちの素晴らしを絶賛したい!

主役の2人、若干の不安定さを若さと熱気でカバー、
まわりを中堅の実力者で固めるという、万全の体制でした。

ブランゲーネのグバノヴァ氏、小さめの声で時々オケに押されそうになりながらも、
滑らかな声と清潔な歌い口が素晴らしい。
第2幕中ほどの「見張りの歌」は舞台の一番奥、
金管奏者の後ろに廻りこんで歌われたのですが、
もう、とろけでしまいそうなワタシでした。
(ここが、今夜のハイライトだと思う)
この方、メトロポリタン歌劇場がネトレプコで「アンナ・ボレーナ」を上演したとき、
ジェーン・シーモア役で絶賛されてるんですね!
Opera! Opera! Opera!
ANNA BOLENA (Mon, Sep 26, 2011)
http://blog.goo.ne.jp/madokakip/m/201109

マルケ王のペトレンコ氏、歌い出したその声が、もう、王様・・・
ゲルギエフ/マリンスキーの逸材、というところなんでしょうか。
ロンドンのプロムスでも大活躍のようですね。
http://dognorah.exblog.jp/4378165
こういう声が身近に聴ける環境というのは、なんともうらやましい・・・

そして、クルヴェナールのモールトマン氏!
身体中に響いた声が、体のすべての毛穴から噴き出してくる、といった声です。
(鈴木優人氏のコンサート・パートナー、ドミニク・ヴェルナー氏の声を大きくしたような)
ひと声聴いただけで、この役の誠実さが感じとれてしまいます。
下手な演技はいらない、声だけで十分なんですね。
この方、グラインドボーンでウィリアム・クリスティーとの「ジュリオ・チェーザレ」や
http://www.livespire.jp/opera/ukopera/glyndebourne/cesare/index.html
ロイヤル・オペラでパッパーノとの「スペインの時」で大評判なようですが、
http://dognorah.exblog.jp/12742037/
今夜のクルヴェナールも、出番は少ないものの、
世界各地での人気ぶりが納得できる素晴らしさでした。

この3人を聴けたことが、今夜の至福でありました。
聴いていて気持ちの良い声というのは、なかなか出会えない・・・

歌の素晴らしさに熱中してしまったので、
オーケストラに関してはあまり印象に残ってないのですが、
私のイメージするワーグナーの音は、
6月の九響「大野リング」の方が、より近いように思いました。

一番驚いたのは、チョン・ミョンフン。
全くというほど、しゃしゃり出てこようとしない人なんですね!
ソリストたちがにこやかに登場して、さて次がミョンフンかな?と思っていると、
いつの間にか指揮台の上で演奏準備に入ってる・・・
アクロスの天井を吹き飛ばさんばかりの歓声の中、歌手陣がお辞儀を繰り返すとき、
舞台の一番端で、にこやかに拍手しているチョン・ミョンフン・・・

こういうの、好きだなぁ・・・