170821_第26回 ベニール・カフェ コンサート2017/08/21


2017年8月19日(土) 19:00  会場:ベニールカフェ ( 18:00~ cafe time )
第26回 ベニール・カフェ コンサート
総集編~クラシック音楽史の秘話~

Cello : 原田 哲男
Violin : 工藤 真菜
Soprano : 井上 智映子
Piano : 広沢 薫

Lecture : 山本 成宏



ベニール・カフェが8月で営業を終了することになり、
約6年続いた「ベニール・カフェ コンサート」の最終回でした。

いつも、多くのお客様で混雑するこのシリーズ、
会場は特にギッシリ満杯、
キャンセル待ちの方が何人もいらっしゃったとか。

前半は山本氏のレクチャー
今回は「クラシック音楽史の秘話」というお話でした。
最終回ということで力が入ってましたが、
途中から空調の調子がおかしくなって来て、会場に扇子の波が広がりはじめます。

ちょっと、長かったかな?

休憩時間は、会場設営の変更時間、
今夜の演奏者はいつもの倍だから、
客スペースと演奏者スペースがギリギリでせめぎ合う、という・・・

さて、演奏開始、

まずは、井上智映子氏のソプラノから。(ピアノ:広沢 薫)
■ カッチーニ(?):アヴェ・マリア
■ プッチーニ:「ジャンニ・スキッキ」から ”私のお父さま”
■ プッチーニ:「トスカ」から ”私たちの愛の家へ”
■ プッチーニ:「トスカ」から ”歌に生き、愛に生き”

こういう狭い会場では勿体ない声量で、壁が揺れます。
たしかに、「トスカ」に似合う声という印象でした。

続いて、ヴァイオリンの工藤真菜氏の登場。(ピアノ:広沢 薫)
■ クライスラー:中国の太鼓
■ クライスラー:ルイ13世のアリアとパヴァーヌ
■ モンティ:チャルダッシュ

実に心地よいテンポのクライスラーでした。

そしていよいよ、お待ちかね、原田氏の登場です。(ピアノ:広沢 薫)
■ ラフマニノフ:ヴォーカリーズ
■ カザルス:鳥の歌

このキリっと整った響きが 「いつも Sold-Out」な原因だと思うんデス。
こういう安心感、なかなか、ないよね。

そして今夜圧巻だったのが、これ!
■ メンデルスゾーン:ピアノトリオ第1番 Op.49 (第1楽章、第2楽章)
ヴァイオリン 工藤真菜
チェロ 原田哲男
ピアノ 広沢薫


これぞ 室内楽! でした。
原田氏が「中心に居る」ことで、工藤氏 広沢氏の響きが数倍魅力的なんですね。
ヴァイオリンやピアノの後ろでキッチリと下支えをしたかと思うと、
チェロのソロでなんとも魅力的な表情を輝かせる原田氏、
演奏者たちからの共演希望も絶えないのではないかな?

チェロの弓がお客さんに刺さらないかと心配になるくらい超満員の会場、
アップライトピアノはお世辞にも「良い状態」とは言えない、
しかもこの暑さで、空調がダウンという情けない状態にもかかわらず、
これだけ圧倒的な「アンサンブル」を引っ張ってゆける人、
「いつも Sold-Out」は当然だと考えるのが正解ですよね。

途中の2楽章までしか聴けなかった不満よりも、
ギリギリ2楽章までも聴かせてくれた事への感謝!
文字通り、客席は熱気であふれかえっておりました。

いいコンサートの後のロビーは華やかです。
常連さんと店主のごあいさつが続きます。

このシリーズ、お客さんに恵まれました。
実に熱心な方々で、
どんなに不慣れな演奏家でも、実に熱心に聴いておられる。
この方々にとって、音楽は単なる「装飾品」なのではなく
「日々の生活の心の糧」として立派に機能している、という印象を強く持ちました。
こういう集まりが消えてしまうのは、残念ですが、
どこかほかの場所で、新しい芽が育つのを見つけることが
はたして、出来るのか・・・